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【山道具】12月の快晴の木曽駒ヶ岳で雪山デビュー!< 道具編 >

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「道具」という言葉

無事に雪山デビューを果たしてきた木曽駒ヶ岳。当日はこれ以上ない気象条件に恵まれ、最高の雪山登山となりました。改めるまでもないですが、(特に冬季においては)登山における登山日の気象条件の確認と登山決行の判断は非常に重要です。


そして、それと同様に大事なのが「道具」です。このブログのタイトルとしても使っている「Tools / 道具」という言葉。「道具」というと一般的には手で取り扱うような工具などを指すことが多い気がしますが、このブログにおいては登山で用いる物はすべて「道具」として扱います。つまり、ザックや登山靴、アイゼン、ピッケルなどの他に、ウェアや行動食までを含めてが「道具」です。

実は、この考え方は、自分の好きな、アウトドアガレージメーカー『山と道』の考え方と一緒です(『山と道』でも行動食までを「道具」と指しているかはわかりませんが)。特にウェアは道具と言われてもピンと来づらいかもしれませんが、命に直結するウェアを道具と呼ばずして何と呼ぶのだろうかと個人的には考えます。


昨今は街中でも着こなすことができる山道具(ウェア)も多くなっていますが、登山において自分と行動を共にするすべての物を「道具」とし、今後は登山記録と並行して、これらの「道具」についても書いていきたいと思います。

 

木曽駒ヶ岳/冬季登山で用いた道具

というわけで、今回の木曽駒ヶ岳登山で用いた道具について、記録と振り返りを兼ねて整理していきたいと思います。また、今後は下記の分類で整理を行います。中には①と②にまたがるものもありますが便宜的に分類していきます。

  1. 基本装備 ... ザックやアイゼンなど登山中に取り扱うもの
  2. ウェア ... 衣類に加えて帽子や手袋など登山中に身に付けるもの
  3. 消耗品 ... 行動食など登山中に消費するもの

 

基本装備

ザック

まず、ザックですが雪山用のモデルを持っていないため、手持ちの中から選択したのは「Osprey Talon 33」です。日帰り登山、あるいは山小屋泊での1泊2日に適した軽量なモデルで、今回の雪山登山にはちょうど良いサイズでした。ただし、外側へのピッケルの装着感が少し心もとなく、やはり雪山用のザックは欲しいところです。

 

 

 

登山靴&アイゼン

続いて、登山靴とアイゼンは基本装備としてセットで考えます。すでにブログでも取り上げている通り、選択したのはもちろん「SIRIO P.F.731」と「Grivel エアーテック Jマチック」。

登山靴とアイゼンに関しては相性も良く、今回の登山を通して不安を感じることは一切なかったです。また、3,000m級の雪山登山となりましたが、行動時間が長くはなかったこともありますが、足に寒さを感じることは一度もなく、SIRIO P.F731の保温性も信頼できると感じています。

 

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ピッケル

そして、ピッケルはこちらも新規で購入した「Grivel Monte Rosa plus」。ピッケルについては今回の登山ではまだ性能について十分に判断できるほど使いこなすことがなかったため、引き続き、使っていきながら検証したいと思います。

今回の木曽駒ヶ岳ではトレッキングポールは車に置いて行ったため、基本装備は以上になります。こうして考えてみると「登山中に取り扱うもの」は意外と少ないということがわかります。これがアイスクライミングや、より難易度の高い登攀になればザイルやハーネス等のより高度な道具が加わってくるのでしょうが、今の所、自分には縁のない道具です。 

ウェア

インナーウェア

続いてウェアになります。インナーウェアには上下ともモンベルの「ジオライン」シリーズを着用。冬季で外気温が氷点下でも、天候が良いと行動中は汗をかくので、速乾性の高いインナーは必須です。また、下半身に関してはジオラインのタイツの下に機能性タイツ、こちらも定番のワコールCW-Xを着用しています。

 

 

ミドルレイヤー / シャツ

続いてインナーの上に着用するトップスですが、レイヤリングの考え方としては、インナーの上にはミドルレイヤーとしてフリースなどの着用がスタンダードですが、インナー&フリースというスタイルが、(完全に見た目だけの問題ですが)いかにも「山登り」という風貌になり、個人的には好きではありません。

なので、自分の場合、インナーの上に一枚シャツを着用しています。ただ、レイヤーが増えることで動きにくさが出ないように、また体温調節に支障が出ないよう、薄手で速乾性の高い、Haglofsのシャツ「BRUNN LS SHIRT(Grey)」を使用しています。こちらのモデルは速乾性もそうですが、伸縮性が非常にあり、レイヤリングしても非常に快適な動きを提供してくれます。お気に入りのシャツです。色はグレー。

 

 

シャツを着用する理由はもう一つあり、インナーはザックを背負って行動していると、どうしても背中の上の方にめくれあがってしまい、外気が背中に入ってくることがあります。この外気の侵入を防ぐため、インナーより丈の長いシャツを着用することで、しっかりと身体を守ることができます。 

ミドルレイヤー / フリース

そして、シャツの上にはand wanderのマイクロフリースジャケットを着用。お洒落なアウトドアウェアでお馴染みのand wander。このマイクロフリースジャケットは一般的なフリースジャケットと同じくらいの厚みなのに、毛が非常に細かく、とても暖かいです。普段着としてももちろんお洒落に着こなせますし、冬山のミドルレイヤーとしてもとても優秀です。こちらは、最新モデルではなく、一つ前のモデルを所有しています。

 

アウターウェア

最後にトップスのアウターには、こちらもお気に入りのブランド、Karrimorの「boma NS jacket」を着用しています。ソフトシェルとハードシェルを組み合わせたような性能を持つ〈POLARTECNeoShell〉を採用したジャケット。Karrimorのサイトではレインジャケットとして紹介されており、アウターシェル兼レインジャケットとして活躍しています。

 

パンツ

続いて、今回の記事での一番のポイントかもしれない、パンツ。

アンダーウェアとしては前述の通り、サポーツタイツとジオラインの組み合わせをベースとしていますが、一番外側に着用するパンツとして今回の雪山で選択したのは、登山用ではなく、スノーボード用のパンツです。それがFourSeasonsDesignLab.の「43DEGREES パンツ」。色はカーキ。

 

スノーボード用のパンツを雪山登山用に使うのは賛否両論あるとは思いますが、雪山登山に必要な性能を考えた結果、スノーボード用パンツが非常に適していると判断しました。この選択には合理的な理由があります。

まず、雪山登山用パンツに求められる性能としては下記の項目が挙げられます。

  • 防寒性があること
  • 防水性があること
  • 透湿性があること
  • (登山靴への雪の侵入を防ぐこと)
  • (アイゼンによるダメージを防ぐこと)

この中で最後の2つについては、パンツの上に装着するゲイターによって補完するのが通常ですが、逆に考えると、この2つの目的もパンツで補えるのであればゲイターは不要ということになります。また、最後の「アイゼンによるダメージを防ぐこと」に関しては、アイゼンでパンツを引っ掻いてしまうのは完全に技術的なミスでしかないため、歩行技術を磨くことで解決できます。

今回着目したのは、スノーボードパンツの性能の高さ。ブーツゲイターに加え、腰回りからの雪の侵入を防ぐパンツゲイターも備え、更には激しい運動にも耐えるストレッチ性、他にもアジャスターやDリングなど、細いところを挙げればキリがありません。

更に、アイゼンで引っ掛ける可能性がある内側にはエッジガードが付いており、プロテクト性能も高いです。他にもベンチレーションなど、とてもマルチな性能を持っています。

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FourSeasonsDesignLab.の製品紹介ページより

 

加えて、雪山登山用に求められる基本性能についても、防寒性については流石にスノーボード用だけあって、厚みのある生地はとても暖かく、登山用のハードシェルパンツより安心感があります。また、防水性については一般的な登山に必要とされている耐水圧20,000mm/H2O、透湿性についても10,000g/m2 24hrsという性能です。

雪山用のハードシェルパンツとして評判の良いMilletのティフォンも耐水圧は同じ20,000mm/H20で遜色ありません。一方、透湿性に関しては、このティフォンのは圧倒的な50,000g/m2 24hrsで驚きの数値。これには脱帽。

ただし、上半身であればともかく、下半身はそこまで発汗しないのが人間の身体。特に自分の場合は発汗量は平均以下であまり汗をかかないので、正直なところ、この50,000g/m2という数字はオーバースペック。10,000g/m2 24hrsという数値は十分及第点。

以上、雪山登山に求められる5つの点を、この「43DEGREES パンツ」は満たしています。更には、このパンツを着用することでゲイターも不要になり、装備を軽量化することもできます。

ハードシェルパンツは通年では使うことができず価格も高いので、購入には頭を悩ませてしまいますが、このような選択肢も十分にあるなと考えています。ちなみに、今回紹介したパンツははおそらく型落ちのモデルで、年末のセールということもあり、なんと4,500円で購入することができました。

実際に今回の木曽駒ヶ岳で使用してみても、大変満足のいく性能でした。今後もこのパンツを雪山では使い続けていくつもりです。

*当然ですが、こちらのパンツは登山用ではありません。使用においては100%個人の判断で行なっています。

 

防寒具類

靴下はモンベルの登山用靴下。手袋についても、インナーとアウターでモンベルのものを使っています。他には、こちらもモンベルバラクラバ。そして、Karrimorのネックウォーマーです。ゴーグルについては、手持ちのスノーボード用を使用。

今回、雪山用に新規で購入したもので、一番悩んだのがグローブ。モンベルで散々並んだ結果、「パウダーグローブ」を購入しました。

保温性については十分ですが、若干指先が固く、ピッケルを取り扱うのに少し苦労しました。今後、グローブついては他にも検討したいと思います。

 

ヘルメット

ウェアの最後は、こちらも忘れてはいけないヘルメット。使っているのは、Black Diamondの定番商品「ハーフドーム」です。色はウルトラブルー。 

 

 

10月の北穂高岳用に購入したものですが、装着感も良いので、こちらを使用。ヘルメットは厚手のニット帽を被って装着すると固定が甘くなってしまうので、薄手のニット帽がバラクラバを装着して購入するのが良さそうです。

 

他に、使わなかったものの、ザックの中には、レインウェアとインシュレーションジャケットが入っていました。ウェアについては以上が今回の装備。

 

消耗品

最後に消耗品の紹介です。行動時間の短い登山でしたが、行動食としては、おにぎりx2、チョコレート、エナジードリンク、飴。消費カロリーはおそらく1,000Kcalに満たないので必要十分な内容でした。氷点下においては立ち止まるとすぐに身体が冷えてきます。少しの休憩でも食べられるものを、十分に用意する必要があると感じました。

他にはサーモスの水筒にお茶を入れて携行。寒いことを想像し、ポカリスエット500mlのペットボトルは車に置いてきてしまいましたが、登攀すると体温が一気に上昇するので、スポーツ飲料はやはり携行すべきでした。これは今回の反省点。

あとは万が一の自体に備えてイマージェンシーキット。これまで使う機会には、幸い恵まれていませんが、必携の道具です。

 

振り返って...

基本装備としては今回使用した道具で大きな問題はないと思っています。強いて言えば、グローブの取り回し。グローブ装着時でのアイゼンの着脱や、ピッケルの取り扱いなど、まだまだ未熟ですので、今後習熟していきたいと思います。

ウェア類に関しては、登山中の体温調節の判断がまだまだ甘く、暑いと思って一枚脱いだら、すぐに寒くなったり、またその逆だったりと、雪山登山の難しさを感じました。これが悪天候になると、このような判断が命に繋がるので、今後も緊張感を持って雪山登山をチャレンジしていきたいと思います。

 

 

#007|快晴の木曽駒ヶ岳で雪山デビュー!< 道具編 > / 完