3月20日に登ったミツバ岳。
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本当に登山日和を絵に描いたような日で、
あの日、山にいられたことが、
どれだけ尊いことだったか。
たった1ヶ月で、
世の中がこんなにも変わってしまったことに、
正直驚くばかり。
そして、たった1ヶ月でしかないのに、
当時の記憶や感情は、
靄のように薄れてしまっている。
それでも、
その時の情景を、
写真を通して思い出すことはできて、
写真を撮っていて良かった
と、改めて写真を撮ることについて考える今。
空気感を捉えるカメラ
その場の空気感はフィルムカメラで撮影した写真の方が残っている気がしていて、
それは、きっと、気のせいなのだろうけれど、
でも、センサーではなく、
フィルムを露光して風景を写真に収める
という行為は、どことなくそれを可能にしているように思います。
思えば、昔、
インスタントカメラで撮った写真を現像に出して、プリントを受けとった時の高揚感。
あるいは、
チェキで撮った写真が浮き上がってくる瞬間の、
写真に吸い込まれるような感覚。
それは、記憶が蘇る瞬間。
それがフィルムカメラの楽しさ。
その楽しさが忘れらなくて、
今でも手元にはフィルムカメラがあって、
その中でも愛用しているのが、
ハッセルブラッド(Hasselblad)
というカメラ。
Hasselblad 500C/M
スウェーデンがカメラを作っていたのは意外。
でも、実は、このハッセルブラッドは、
アポロ11号の歴史的な月面着陸を記録したカメラ。
もちろん、この時は月面の環境に耐えられる特別仕様だったとか。
ハッセルブラッドは、完全な機械式なので、電池要らず。
ある意味、どんな状況でも動くカメラ。
スウェーデンらしい堅牢感。
そして、自分が持っているのは、
Hasselblad 500C/Mというモデル。
この、箱のようなフォルムが、本当に愛くるしい。
クロームで縁取られた筐体。
そして、寄り添うように装着された白鏡胴のレンズはPlanar C 80mm F2.8 T*。
このカメラの特徴は、中判カメラであるということ。
使用するフィルムは一般的な35mmではなく、ブローニサイズと言って、35mmフィルムの2.7倍の大きさ。
つまり、一枚の写真に取り込む光の量が多いということ。
その場の空気感をすっぽり取り込んでしまう
そんなカメラです。
1枚の写真が物語ること
例えば、この写真。
夏の瀬戸内で撮影した1枚。
まだ季節は春だというのに、
この写真を見るだけで、
陽を遮るものが無い、夏の瀬戸内の暑さと、
スイカの身体に染み入るような甘さと瑞々しさが、その当時の記憶と共に蘇ってきます。
中判カメラは、見ての通り、
写真のサイズはスクエア。
そこも、なんだか愛嬌があります。
Instagramの原型はここにあり。
ハッセルブラッドとミツバ岳
この前のミツバ岳でも、このカメラで撮影をしてきました。
1ロールで12枚しか撮れないというところも魅力的。
デジカメを使う時とはまったく心境は異なっていて、撮る前に、まずは、
撮りたい写真をイメージ。
そして、何度も考え、構図を決め、フォーカスを合わせ、ようやくシャッターを切る。
シャッターを切ったら、フィルムを巻き上げる。
これを12回。
なんだか、儀式のような。
言い過ぎかもしれないし、個人的な思い込みかもしれないけれど、
1枚1枚の写真から、
撮る人の気持ちを感じることができるような気がします。
持つだけで幸せを感じるカメラ
そして、実際に手に持った人だけが味わえる感動。
ファインダーを上から覗くと、
そこには感動を覚えてしまうような、美しい風景が広がっています。
平面なのに、立体的。
そこに世界の、光の、美しさが、目前に現れているような。
まさに、カメラは光を写すもの
という説明がしっくりきます。
なんだか、シャッターを切らずしても、十分に満足で、幸せに浸ってしまう...
これは、本当に、魔法。
気が向いたら手に取って触りたくなる。
そして、きっと、これからもずっと持っているであろうカメラ。
早く、また撮影に行ける日が来ることを祈って。
#047|Hasselblad 500C/M