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【登山記】(2019年)目指すは槍ヶ岳!2泊3日の表銀座縦走②:中房温泉〜大天井岳

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①事前準備編からの続きです。表銀座縦走1日目。

tools4mountains.hatenablog.com

 

 

夜行バスで中房温泉へ

予約した夜行バス『毎日あるぺん号』は23:00に竹橋発で、翌日の朝5:30頃に燕山の登山口である中房温泉に到着します。

バスの集合場所は東京メトロの竹橋駅すぐのところにある毎日新聞社の受付ロビー。平日の深夜近くの竹橋は静まり返っているものの、この毎日新聞社のロビーだけは大賑わい。山の繁忙期だけあり、登山客で文字通りごった返しているので、迷うことはほぼないと思います。

受付近くにしっかりコンビニもあるので、翌日の朝食などを最後に買い込んで、受付を済ませたら、バスに乗り込みます。

 

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バスは4列シートなので、あまり快適とは言えませんでしたが、こればかりは文句は言えず...

なお、途中、諏訪湖SAで深夜のトイレ休憩があり、バス車内もライトで照らされてしまうので、ほぼ眠れないです。明け方も中房温泉に着くまでに数カ所停車もするので、ゆっくりするというよりは完全に移動するのみといった感じ。運よく後方の窓際の席に座れれば多少は眠れるかもしれません。

その点を除けばバスは快適で、ほぼ定刻通りに中房温泉に到着しました。

 

いざ北アルプス3大急登の合戦尾根へ

中房温泉にはバスが次々と到着。大人気の燕岳に登る人がほとんどだと思いますが、すごい数。

道中の渋滞が容易に想像されるので、荷造りを済ませ、サクッとエネルギー補給(ウィダーインゼリーを2飲みほど)をしたら早速出発します。5:40に登山開始!

 

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燕岳へ向かう合戦尾根は『北アルプス3大急登』と呼ばれているだけあり、確かに噂通りの急登。でも覚悟して登ったからか、思った程ではないなと感じました。

最初は遅いペースの人を抜いたりしつつも、登ってしばらくすると、同じくらいのペースの人達が列を成す形になるのでペースも安定してきます。前方に見えるザックの色がお馴染みになってくるのが面白い。

「山と道でお揃いのカップル」「赤のmacpacのお兄さん」など心の中で呼びながら、時には追い越し、時には追い越されながら、遅れないようにと足を進めます。良い感じで身体も温まってきます。

 

ただ、今日の目的地はこの合戦尾根を登りきったところにある燕山荘ではなく、そのずっと先にある大天井岳。コースタイムでは8時間程らしく、休憩を挟むと、到着予想時刻は15:00くらい。それに、燕岳は経由地の燕山荘から往復で45分程かかるので、それを考えるともう少し余裕を持ちたいのが正直なところ。

*表銀座を縦走する人は燕岳はすでに登ったことのある人も多いので、燕岳のピークハントはせずにそのまま進む人も多いようです。

なので、急ぎ気味で、足を進めます。

道中では、休憩スポットである、「第1ベンチ」「第2ベンチ」「第3ベンチ」「富士見ベンチ」が良い頃合いに登場するので、快適に登山できます。ベンチで休憩しつつ、遅いペースの人をこのタイミングで抜かすこともできるので、登りやすい山だなと感じました。

ほぼ徹夜明けで登っている割に、すっかり元気。

 

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写真を見返してみると、第2ベンチのフォントが可愛いですね。

 

合戦尾根の名物小屋で名物を食す

そうすること約2時間程で、待ち焦がれていた看板が見えてきました。そう、合戦尾根の名物小屋である合戦小屋

程よく身体も汗をかいて、少し疲れも出てきたところ、休憩するにはちょうど良い時間。 なお、下の写真に見えるのが「赤いmacpacのお兄さん」です。

 

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合戦小屋の名物は、真夏にピッタリのスイカ!

水分補給のため、もちろん迷うことなく即決でオーダー。一切れ500円。塩も置いてあるので塩分補給にもGoodです。

昔より一切れのサイズが小さくなったという噂もありますが、サイズ的にはちょうど良かったです。むしろ、ちょうど良い... これ以上は食べられないかなというサイズ。合戦小屋は宿泊はできませんが、スイカ以外にも物販も充実しているので、飲料水やお菓子など補充も可能。もちろんトイレもあります。

 

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合戦小屋で20分程休憩したら、続いて、燕山荘に向かいます。燕山荘までは合戦小屋からは1時間かからないくらい。すでに登りのピークは過ぎているので、一踏ん張り。

燕山荘までの道はしばらくは変わらず樹林帯の中を登っていく感じです。

が、途中で植生が変わり、背の低い木々が主になってくると視界が開き、その向こうに小屋の姿が見えてきます。姿が見えてからが意外とあるけれど、燕山荘はもうすぐ。

 

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表銀座1つ目のピーク、燕岳

中房温泉を出発して、3時間、ついに燕山荘へ到着。北アルプス屈指の人気の山小屋だけあって、建物はとても立派。雰囲気もお洒落です。

居心地もとても良いらしく、いつかは泊まってみたいです。夕食時は名物のオーナーによるホルンの演奏もあるとか!?

 

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なお、時刻は8:40。まだまだ朝と呼ぶにふさわしい時間。

燕山荘に入ってみると、昨晩の宿泊客はすでに出払ったあとということもあり、館内は落ち着いていました。そして、この時間はまだカフェ・レストラン営業もしていなかったので(11:00〜)、外で休憩タイム。

天気が良ければ、燕山荘からも槍ヶ岳の姿が見えるはずですが、この日は山の方には雲がかかっており残念ながらその姿は見えず... 明日に期待します。

一方で、燕岳の姿はしっかり見えました。

 

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白い花崗岩と花崗岩砂礫が特徴的で、独特な姿。アルプスの女王と呼ばれることも納得。猛々しいというよりは、優雅な雰囲気を纏っています。

燕山荘から燕岳は往復で1時間ほど。先も気になるところですが、やはりピークは踏みたい!ので荷物をデポして燕岳方面へ向かいます。

目で見えるより意外と距離がありますが、稜線の上、花崗岩砂礫の上を歩いていくのはやはり気持ちが良い!時折吹いてくる風が心地良い...

途中、名物(名物ばっかり!)のイルカ岩もしっかり写真に収め、無事に燕岳山頂に到着。

 

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山頂から振り返ると燕山荘の姿が小さく見えます。

本当はもう少しゆっくりしたかったものの、まだまだ道のりは長いので、景色を堪能したら、燕山荘まで戻ります。

なお、この時、トレッキングポールを燕山荘にザックと一緒にデポしてきましたが、意外と起伏があるので、トレッキングポールもあると良いと思います。やはり3時間登ってきて足に疲れが出てきていたので...

 

いざ、表銀座縦走路へ!

この燕山荘までは人も大勢で賑わっていましたが、ほとんどの登山客は日帰り、もしくは燕山荘に宿泊。ここから先の縦走路へ向かう人の姿は、あまり見かけませんでした。

でも、このずっと先に続く稜線を見るだけで本当にワクワクしてきました。ついに、表銀座の縦走路のスタート地点。天気も最高。この時の高ぶる気持ち、今でも懐かしい...

「お気をつけて」の文字が、なんだか嬉しい。

 

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この看板の足元にも見えますが、コマクサにも出会うことができました。

実は、この夏休みの初日は八ヶ岳の硫黄岳に登りましたが、そこではコマクサの花はすでにしおれてしまったあとで、とても残念だったので、ここでコマクサに出会えたの本当に嬉しかったです。

コマクサは燕山荘から大天井岳へ10分程歩くと群生していて、そこが一番綺麗なエリアでした。こんな岩場の大変な場所に綺麗に咲いていて『高原植物の女王』という呼び名が相応しい。

合戦小屋でスイカを頂き、燕山、そしてコマクサの姿に癒され、この時点ですでに満足度がほぼ閾値を越えてきました、笑。が、まだまだ先は続きます。

 

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縦走の醍醐味、稜線歩きを堪能

コマクサの姿に見とれつつ、しばらくして振り返ると、すでに燕山荘の姿は小さくなっていました。稜線歩きはやはり気分も良く、足取りが軽くなる証拠。

その向こうには燕岳の姿も。なお、その先にあるピークは北燕岳。

 

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前を向くと、今度は目的地である大天井岳が。まだまだ遠くに小さく見えるそのピーク。油断せずに進みます。右手に広がる穂高連峰、そして槍ヶ岳は曇に覆われたまま... でも、逆に明日その姿が見えるという期待もあって頑張れたもの事実。

 

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初日の目的地、大天荘/大天井岳に到着!

登り返しの標高差はほとんどないものの、流石に5時間ほど歩き続けていると、そのちょっとした登り返しが身体に応えます。でも、少しずつ大きく、その姿を見せる大天井岳と、そこに広がる景色に夢中で歩き続けていた記憶。

上の写真の、山肌を左上に伸びていく登山道が最後の登り。

この登りが本当にキツかった... この縦走路の中で一番の辛い思い出。淡々と続く登りほどキツいものはないですね。少し登っては休み、登っては休み、を繰り返し、ついに『大天荘まで100m』の看板。

 

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中房温泉を出発して6時間強。11:50に大天荘に到着!

長かった!!!流石にもう歩きたくない(笑)。でも、達成感が身体中にみなぎってます。燕山荘で話をして、同じ大天井岳に向かっていることわかって仲良くなった例の「赤いmacpacのお兄さん」とも、無事に再会し、お互いを労います。

振り返ると、表銀座の縦走路が燕岳まで続いています。燕山荘の姿も小さい!

 

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コースタイムよりはかなり早い時間で到着。

疲れはあるものの、荷物を降ろしたら大天井岳の山頂へ。大天荘からは10分程で到着。表銀座の2つ目のピークを無事に踏むことができました。

 

大天荘で疲れた身体を癒す...

すでに予約はしていたので、無事にチェックイン完了。大天荘はオリジナルグッズがオシャレで欲しくなるものが多かったです(荷物が重くなる不安もあり今回は断念)。

ところで、どうやら、自分はこの日の宿泊客で一番最初のチェックインだったかも。

大天荘は2段になっている寝室スペースがブロックに区切られており、チェックイン時にそのブロックが割り当てられます。4畳半ほどのスペースに6人分の布団がすでに準備されており、チェックイン時の説明によると「今日は大変混み合う」とのこと。

もしかしたら布団1枚をシェアかも?という不安もありつつ、最初のチェックインだったので快適な隅のスペースを確保。

このあと、お腹も空いてきたので、団欒スペースで持ってきたパスタを食べました。そして、食後にはご褒美の生ビール!

 

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なお、ビールを飲みながら地図を見たりと、のんびりしていたら、いつの間にか到着する登山者が続々。テントサイトもたくさんのテントで彩られていました。

テン泊もやっぱり楽しそうだなぁ。

 

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山小屋で過ごす時間、その楽しみ

さて、ビールを飲んだあとは談話スペースで雑誌を読んだり、ベッドでゴロゴロしていたら、夕食の時間。

山時間なので、夕食の開始時間は17:00。もちろん朝は早く、カロリーも消費しているので、お腹も空いてきたところ。

大天荘の夕食はメインはハンバーグ。お味噌汁も小鉢もあり、しっかりデザートのグレープフルーツも付いていて美味しかったです。

 

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ご飯を食べてのんびりしていると、もう外は暗くなってきて、そして外に出てみると寒いくらい。寝る準備をして、早めの就寝。

思ったほど疲労も溜まっておらず、まだまだ頑張れそう。

 

明日はついに槍ヶ岳を目指します!まだまだ続く、表銀座。

 

参考:行程表

  • 5:40 中房温泉(登山口)
  • 7:40-8:00 合戦小屋
  • 8:40 燕山荘
  • 9:05 燕岳
  • 10:15 大下りノ頭
  • 11:20 切通岩
  • 11:50 大天荘

 

 

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