【登山記】(2019年)目指すは槍ヶ岳!2泊3日の表銀座縦走③:大天井岳〜槍ヶ岳山荘
前回からの引き続き。表銀座縦走2日目はついに槍ヶ岳を目指します!
大天井岳から槍ヶ岳へ向かう縦走路から東鎌尾根に突入。東鎌尾根は噂通りの登り応え。その先にあるのが目指す槍ヶ岳...
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- 朝焼けの中に、槍ヶ岳の姿を捉える
- 本格的に厳しさを増していく道...
- "ビックリ平" 以上のビックリ?!
- 貴重な補給スポット 西岳ヒュッテ
- 東鎌尾根の取り付き点、水俣乗越へ
- 一歩一歩、槍を目指す
- ついに、槍ヶ岳の足元へ。
- 参考:行程表
朝焼けの中に、槍ヶ岳の姿を捉える
大天荘の朝食は4:15くらい。まだ真っ暗な中、一日のエネルギーのためにしっかり完食。写真を撮るのを忘れるくらい一心に食べた記憶。
朝食は確か食堂のキャパがあるため入れ替え制で、一巡目に食べるため、早めに並んでおくのが正解。
睡眠はと言うと、結局、自分の割り当てられた2段ベッドの上のブロックは4人しかいなかったのでゆったり寝ることができました。他のブロックは比較的6人ぎゅうぎゅうで寝ているところが多かったので... これは幸運。
なんとなくの予想ですが、年配の方は下のブロックに割り当てられる傾向がある気がします(おそらく足腰の問題。実際、上のブロックへの登り降りって結構大変...)。
美味しい朝食を食べ終わる頃には外は少しずつ明るくなってきていました。
朝日が出るまでの時間は、きっと、登山する人であれば誰しもが好きな時間で、それは山に泊まった人でないと経験できない時間だから。
一刻たりとも同じ表情を山は見せず。刹那的に見せるその姿に夢中になってしまう。テントサイトの登山者もテントを片付けながらも時折その手を止めて、日の登る方を見てしまう。この長いようで短い時間、山にいて良かったと心から思える時間です。
そして、小屋の南側に回ってみると、ついにそこには槍ヶ岳の姿が。
ようやく、自分の目でしっかりとその姿を捉えることができました。すでにこれだけで満足感は十分。本当に象徴的な造形。北アルプスのシンボル。
前年には涸沢から北穂高岳へ登ったこともあり、すぐ近くまでは来ていたものの、北穂高岳に登った日は生憎の雲空で山頂では何も見えず... どっちの方向に槍ヶ岳があるのかもわからなかったくらい。
八ヶ岳や中央アルプスから、その姿を小さく捉えることはあっても、しっかりとその形がわかるくらいの距離で見たのはこの時が初めてだったので、本当に感動しました。
さて、見惚れてていると時間は経ってしまうばかり。今日はあの頂に登らないといけないのだから!
この日は、先日仲良くなった「赤いmacpacのお兄さん」(「Sさん」と呼びます)と一緒に歩くことに。5:00出発を目標にお互い準備をして集合。
本格的に厳しさを増していく道...
大天荘を5:00に出発。まず向かうのは大天井ヒュッテ。このヒュッテは大天荘から30分程下ったところにある宿泊可能な山小屋。展望はないものの、その分、落ち着いた雰囲気でゆっくりした人はこちらの方が良いかも。
また大天井岳のピークハントにこだわらなければ、巻道で燕岳方面より山頂を経由せずにアプローチも可能なようです。初日のスケジュール次第ではこちらもありかも。
この大天井ヒュッテへ向かう道は昨日の縦走路とは一変して、なかなか険しい道でした。まだまだ普段なら寝ている時間。頭がまだしっかり目覚めてないので気をつけながら進みます。
ふと岩肌を見ると、この縦走旅で2回目の「お気をつけて」の文字字を発見。こう行ったちょっとした言葉が励ましてくれます。
"ビックリ平" 以上のビックリ?!
大天井ヒュッテで少し休憩したら、まだ険しい道に逆戻り。
グルっと巻道をひたすら進んでいきます。若干、藪漕ぎに近い場所もあった記憶。
そんな中、辿り着くのが、"ビックリ平"と呼ばれる場所。急に視界が開けて、展望が目に飛び込んで来てビックリすることから名付けられたとか?
確かに、展望は良い。でも、そこまでビックリするほどではないかも?!
展望を楽しみつつ、少し休憩したら、すぐに出発。この辺りは稜線歩きで本当に気持ちの良い朝という感じ。でも、この日は昨日とは違って100%の快晴。景色は最高。でも、日差しもキツい... 今日は大変な一日になりそうな予感。
そんな中、本当のビックリはこの後、唐突に現れました。
それは... 猿!しかも、猿の大群でした!!
何家族いたのだろうというくらいの大群。写真でその大群感を収めることはできなかったものの、ザッと見た感じ、100匹は下らないと思われる数。上高地を歩いている時に猿を見かけたことはあっても、まさか、こんな高いところまで猿がいるとは思っていなかったので、本当にビックリでした。
でも、考えてみると、この山々は本当は彼らのもの。そこをたまたま自分が通らせてもらっているだけなんだなとも思う。人間にまったく物怖じしない猿。慣れているのだろうけれど、それ以上にマイホーム感がありすぎて面白かったです。
「失礼します〜」という感じで、通り抜けていきました。
貴重な補給スポット 西岳ヒュッテ
その後は西岳までを快調に歩き、西岳ヒュッテで水分補給。
この西岳ヒュッテの存在はありがたかったです。こんなところに小屋があるなんて!しかも冷たいポカリスエットがある!痒いところに見事に手を届けてくれました。助かる...
なお、この表銀座の数ある山小屋の中で、ポカリスエットの値段はこの西岳ヒュッテが一番高かったです(たしか550円)。それでも、この立地を考えると納得の値段。
なお、ここから見える槍ヶ岳も素晴らしかった。
写真に見える槍ヶ岳の山頂へと続く稜線が、東鎌尾根と呼ばれる尾根。
考えてみると、"鎌"尾根ってすごい名前。思わず、身震いしてしまう。
そして、見た通り、この尾根に取り付くには、まずだいぶ下の方まで下らなければならない。そして、そこからひたすら登るというコース。
昨日の行程が意外と余裕だったので、正直なところ、ここまでは甘く見ていました。この表銀座、やはり核心部はこの2日目であり、この東鎌尾根と言えます。
東鎌尾根の取り付き点、水俣乗越へ
東鎌尾根へ至るにはまずはひたすらに下っていきます。『ここで下りた分はまた登るのか…』と若干の絶望感を味わいつつ文字通りの急降下。
自分とは反対に、下から登ってくるトレイルランをしているガチで体力もありそうなお姉さんが、あり得ないほどハアハアと肩で息をしていたのが印象的でした。
この下りはかなりスリリングなもので、道中にあるハシゴの長さ!!同行していたSさんは高所が苦手らしく腰が引けていました…
個人的にはすっごく楽しかった!
下から振り返ると、その急さがよくわかる... およそ250m程の急降下。そして、ようやくここは谷底なのかと思えてしまう水俣乗越(みなまたのっこし)に到着。
この水俣乗越。乗越という単語は「峠」のこと。のっこし、という読み方も山に登って知ることになったかも。他にも、昨日登った燕岳(つばくろだけ)も大天井岳(おてんしょうだけ)も、ちょっと読み方にはクセがあるので、何事も勉強。
ここからは、ついに東鎌尾根の登りのスタート。栄養補給と水分補給、そして気を引き締めて最終目標である槍ヶ岳に向かいます。
一歩一歩、槍を目指す
ここからはひたすら目の前の登りに集中。細かい登り返しも度々あったりと、疲労がたまります。
道中には有名な3連梯子も!本当に長くて、これはスリリング... ただ、稜線歩きもよければ、こうした長梯子を使った直下降も登山の醍醐味。山の起伏と同様に、メリハリに富んだコースは疲れるというより楽しさが優っていて、本当に来て良かったなと歩きながら思っていました。
振り返れば、昨日登っていた大天井岳や遠くには燕岳も見え、自分の歩いてきた道を思い出しながら、充実感はみなぎるばかり。そして、この先には槍ヶ岳がある。なんて贅沢な道。表銀座、本当に最高。
そして、何度か急な登りを経て、少し先に見えてくる山小屋の姿。ようやくヒュッテ大槍に到着。そして、目の前に見える槍ヶ岳の姿に改めて興奮。空が青くて、槍が空に突き刺さるかのよう。
ついに、槍ヶ岳の足元へ。
ここからは、はやる気持ちを抑えて、落ち着いて進みます。
ちなみに、同行していたSさんはテン泊だったので「槍ヶ岳山荘のテン場を確保できるかな...」と本気で焦っていました(笑)。朝、出発する時も、場合によっては、殺生ヒュッテのテン場にするか悩んでいた様子。
でも、この日も快調なペースだったのできっと大丈夫!と言い聞かせながら、荷物を持ってひたすら行軍。
そして、ついに岩場に見える「300m」の文字。
そして!
ついに!
槍ヶ岳山荘に到着!!
大天荘を5:00に出発し、歩くこと約6時間、11:00に到着しました。
東鎌尾根の500mの登りは、なかなかでした。
でも、感無量。達成感。ここまで自分の足で歩いて、登ってきただなんて、なんだか夢のよう。
Sさんとがっちり握手を交わし、まずはお互い、チェックインをしよう、ということに。そう、冷静になることも大事。山荘にはたくさんの登頂者がやってきています。
果たして、テン場はまだ残っているのか?!
槍ヶ岳山荘のことも、そして槍ヶ岳登頂のことも思ったより長くなりそうなので、次回の④にて!
参考:行程表
- 5:00 大天荘
- 5:24 大天井岳ヒュッテ
- 7:30 ヒュッテ西岳
- 8:35 水俣乗越
- 10:05 ヒュッテ大槍
- 10:50 槍ヶ岳山荘
#040|(2019年の登山記)目指すは槍ヶ岳!2泊3日の表銀座縦走③:大天井岳〜槍ヶ岳