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【登山記】2019年の登り始めに、念願の黒百合ヒュッテ泊 & 天狗岳に行ってきました!

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年始早々どこかの山に登ろうかと悩みつつ、「近場の丹沢の大山にでも登ろうかな、いや初詣の人でごった返しているよな...」 となかなか重い腰が上がらない状態で年始を過ごしました。

そして、ようやく今年の登り始め。

前々から行きたいと構想を練っていた、八ヶ岳の天狗岳に登ってきました!1泊2日で宿泊は黒百合ヒュッテ。黒百合ヒュッテもずっと泊まってみたかったので念願叶っての登山となりました。

日程は2019年1月13日-14日。両日共にこれ以上ない快晴!最高の山日和の中、雪山を楽しんできました。 

それにしても、前回の木曽駒ヶ岳といい、今回の天狗岳といい、見事な晴山男っぷりを発揮しています(笑)。

今回の計画

 

天狗岳は夏山であれば十分日帰り可能な山です。

コースタイムは渋の湯の登山口からであれば8時間程度。早朝発であれば冬でも問題なく日帰り可能だと思います。

ただ、やっぱり雪山を堪能したいということで、今回は宿泊しての登山にしました。黒百合ヒュッテまでは2時間〜2時間半で到着できるので、1泊2日であれば、初日は朝もゆっくりで、景色も楽しみながらの登山が可能です。

また、登山口の渋の湯さんの駐車場が混雑し、場合によっては駐車できないこともあり、その場合はバスを利用しての移動となります。そうなると益々日帰りは難しいので、混み合う週末はやはり1泊2日での計画が無難かなと思います。 

参考:今回の行程

2019年1月13日(日)-14日(月祝)

1日目:

  • 9:45 渋の湯駐車場着
  • 10:05 スタート
  • 12:43 黒百合ヒュッテ到着
  • 13:00-13:30 昼食@黒百合ヒュッテ
  • 午後は中山峠周辺を散策&黒百合ヒュッテでのんびり

2日目:

  • 7:10 黒百合ヒュッテ発
  • 8:25 東天狗岳到着
  • 8:50 西天狗岳到着
  • 10:45 黒百合ヒュッテに戻る
  • 12:57 渋の湯駐車場到着

行程の通り、1日目、2日目とも、ゆったりとしたスケジュールを組むことができました。天狗岳は雪山の経験が浅い人や、体力に不安のある人でも安心して登ることができる山だと思います。

ただ、アイゼンやピッケルの使用スキルが求められます。特に東天狗岳に到る道は雪と岩のミックスになるため、アイゼンでの歩行に慣れていないと危険です。可能な限りは経験者と一緒に登ることをおすすめします。 

黒百合ヒュッテは冬でも大繁盛でした

 

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黒百合ヒュッテの正面玄関。看板の文字が可愛いです。


今回宿泊した黒百合ヒュッテは冬季も含め通年で営業しているので大変ありがたい山小屋です。年末年始はお汁粉が軽食メニューに追加されたり、冬はビーフシチューが大人気。小屋内も自炊スペースや団らんスペースも充実していて、快適でした。

ただ、その利便性もあり冬も大繁盛しています。

今回の登山は本当は1月12日-13日を予定していましたが、1週間前に予約メールをしたところ「満室のため宿泊不可」との返事... 一瞬呆然となりましたが、気を取り直し、翌日の13日泊まりで計画を練り直しました。

13日は比較的ゆったりとしていたので、結果的に正解だったかもしれないです。

宿泊は大部屋か、+1000円の追加料金を払えば個室も宿泊可能。今回は大部屋にしましたが、1人1枚布団が確保できました。混雑時は布団も2人でシェアするのも当たり前のようです...

余談ですが12日はどうやら団体さんが2-3グループほど宿泊したため満室だったようです(初日に登っている時にすれ違ったので)。雪山実践のツアーにもよく使われる山だけあって流石でした。

渋の湯へのアクセスと駐車場問題

 

登山口のある渋の湯までは、JRの茅野駅から自家用車で40分程度。

バスであれば50-60分。ちなみに、バスですが、この路線は冬期は土日祝しか走っていないので、平日に行かれる方は要注意。自家用車orタクシー利用になります。

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茅野駅周辺はあまり降雪はないですが、渋の湯まで来ると流石に路面は雪で覆われていると考えた方が良いです。今回はしばらく雪が降っていなかったこともあり、渋の湯まではほぼ雪がなかったですが、スタッドレスはあった方がよいです。

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渋の湯の登山者用駐車スペース

 

また、黒百合ヒュッテのホームページでも注意喚起がされていますが、こちらの駐車場はルールが厳格なので、きちんと守るように!

駐車場は渋の湯の温泉宿の100m程前にあるのでついつい先に停めたくなりますが、まずは宿の受付で先に支払いを済ませます。そして、駐車許可証を受け取ったら、渋の湯の"厳しい"でお馴染みの女将の指示に従って駐車します。

厳しいという噂で少しビビっていましたが、素直に言うことを聞いていれば、とても良い人でした。なお、駐車料金は1日あたり1,000円。泊まりの場合は2日間なので2,000円です。

*参考:自分が着いた9:45の時点で駐車場の空きは10台程度でした。準備をしていると続々と車もやってきたので、10:30頃には一杯になっているかもしれません。ただ、その頃には逆に下山してくる人もいるので、タイミングが良ければ入れ替わりで駐車できるかも。

渋の湯登山口〜黒百合ヒュッテ

 

無事に駐車も完了したら、早速出発!

登山口は渋の湯の受付から100mほど進んだ所。こちらで登山届けを提出。正式名称は「奥蓼科登山口」のようです。

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登山口は渋の湯のちょっと先。


始めは比較的急な登りが続きます。アイゼン無しで登りましたが、雪が踏み固められて滑りやすい箇所もあるので注意して進みます。

黒百合ヒュッテまではずっと林の中を進んでいきます。渋の湯のあたりでは温泉の硫黄臭が漂っていましたが、登山道に入るとすぐに空気がとても綺麗で清々しいです。

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雪山と言うと、真っ白な世界を想像しますが、八ヶ岳は苔の緑もとても鮮やかで癒されます。林の中は様々な雪の造形が見えて、思わず写真をたくさん撮っていたら、だいぶゆっくりな行程になってしまいました。

1時間ほどで登りは終わり、あとは林道をスノーハイキング。とても楽しい時間。

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時折、頭を上げると、空が近づいてくるのがわかります。今日の空はまさに「青色」。雪の白と、空の青のコントラストが鮮やかです。

空が近づいてくると、黒百合ヒュッテはもうすぐ。 大きなソーラーパネルが最初に目に飛び込んできます。そして現れるヒュッテの建物。

林の中に現れる黒百合平はとても広くて素敵な場所で、たくさんの登山客で賑わっていました。

渋の湯を出て、2時間半程で無事に到着!

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黒百合ヒュッテは大勢の登山客で賑わっていました。

黒百合ヒュッテ名物のビーフシチューとビールで乾杯!

 

無事に到着し、アイゼンを外したらチェックイン。今回は初めての利用ということもあり、2食付きでお願いしました。冬期は暖房費500円もかかるので9,000円。

ここ黒百合ヒュッテは宿泊は2階の大部屋が基本になり、荷物は上まで持って上がれません。1階に靴箱とザック用の棚があってそこに収納します。と言っても棚は多くないので、最終的には壁際にザックがぎっしり並びます。

靴箱も大きくはないので、特に同じような靴が並ぶ冬は、間違えて持って行かれないように札を付けるなど対策推奨です。

少し不便な所もありますが、黒百合ヒュッテでは個室も6室ほどあって、+1,000円で利用できます。個室は荷物の持ち込みも可能なので、+1,000円であれば正直すごくお得だと思います。グループであればなおさらオススメです。

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今回は1泊2食付きで9,000円(冬期は暖房費500円込み)


荷物も下ろして落ち着いたら、早速お昼ご飯。

黒百合ヒュッテのメニューはとっても充実していて悩みましたが、やっぱり名物の「ビーフシチュー」にしました!パンorご飯とサラダが付くセットで1,500円。そして、缶ビールも注文。

食事の他にも喫茶メニューも充実しているので、泊まらない人でも一息つくのにとても良さそうです。

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喫茶メニューも充実しているので、悩む...


団らんスペースにテーブルが並んでいるので座ってのんびりしていると10分程で運ばれてきました。

期待通り、いや期待以上に美味しい!お肉はすごく柔らかく、野菜もゴロゴロしていて、冷えた身体があったまります。ビールも飲んですっかり大満足。

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黒百合ヒュッテ名物のビーフシチュー。

午後は夕食まで中山峠周辺を散策など...

 

お昼を食べたら、天気も良いので周辺散策に。

歩いてすぐのところが中山峠。そこからは山梨側の景色が楽しめます。金峰山や甲武信ヶ岳?中山峠自体2,400mの高さにあるので、眼下の風景は、どこか遠く感じます。少し不思議な気分。

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ヒュッテからは徒歩10分の距離にある中山峠。

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遠くに見えるのは金峰山や甲武信ヶ岳?

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今回の目標である天狗岳を臨みます。


ヒュッテに戻ったら、お湯を沸かしてコーヒーを淹れて、まったり。黒百合ヒュッテは屋内に暖炉スペースがあって、そこでは火を使っての自炊も可能なので助かります。夕方になると、自炊する登山客も多くいて、美味しそう... ビーフシチューを食べたばかりなのに、お腹が空いてきます...

16:30になると、ようやくその日の布団の割り振りが発表されます。寝る布団は指定されるので、この発表をしっかり聞くこと。

大部屋は二間あって、どうやら女性のソロ客は奥の部屋に割り振られているようです。

その後、17:30から夕食。こちらも席が指定されます。夕食は山小屋定番のハンバーグ。もちろんご飯とお味噌汁はおかわり自由。何気にデザートの水まんじゅうが美味しかったです。

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夕食は定番のハンバーグ。


ダイニングスペースは団らんスペースと兼用なので、食後は宿泊客は思い思いに過ごしています。本もたくさん置いてあるので、八ヶ岳の写真集などを見たりして過ごしました。

面白かったのは、18:50になるとスタッフがテレビを10分間だけ付けること。どうやら18:55からのNHKの天気予報のチェックが毎日の慣習みたいです。そして、明日の天気は快晴!

その後は20:30の消灯までのんびり。ホットワインを頼んでみました。シナモンパウダーも付いてきて、身体もあったまって、美味しかったです。

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ホットワイン(シナモンパウダー付き)


時折、テント泊の登山客が寒そうに中に入ってくるのを横目にワインを飲んでいました。一度、歯磨きのために外に出ましたが、一瞬で身体が芯から冷えた... テント泊の人凄い。尊敬。

そして、星が綺麗。今度は星の撮影にもチャレンジしたいです。

 

天狗岳に向けて出発!

 

翌朝の朝食は6:00。食事前に水筒を出しておけば、お湯をもらうこともできます(100円)。外気温は-15℃。アイゼンを装着し、ピッケルを手に、ついに今回の目的である天狗岳に向けて出発!ここからは寒さもあり、写真は少なめ...

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6時45分の外気温は-15℃

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朝焼けがとても綺麗でした。

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中山峠からしばらくは林の中を歩いていきます。


中山峠からしばらくは稜線伝いに林の中を進みます。すると、急に天狗岳がそびえ立つように出現します。ここからは本格的な登りです。

雪と岩のミックスのような場所が多いので、アイゼンも滑りやすく、初心者向けというには難しい気もしました。1グループ、シニアの方は引き返していました。

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奥に見えるのが東天狗岳と西天狗岳。


ここからは一歩一歩確実に進んでいくのみ。1時間ほどで手前に見える東天狗岳に到着。中谷峠から上は急に風も強くなり、東天狗岳の山頂はかなりの強風。一気に身体が冷えるので、すぐに今度は西天狗岳に向かいます。

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強風の東天狗岳山頂。

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西天狗岳山頂にも登山客の姿が見えます。


東天狗岳からは一旦降りてからの登り返し。高低差はあまりないので、20分程で西天狗岳に到着!

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西天狗岳山頂は風もなく穏やかでした。

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今度は東天狗岳を臨みます。あちらにも登山客がたくさん。

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せっかくなので記念撮影。


西天狗岳山頂は風もなく穏やかだったので、ここでバーナーを取り出して、お湯を沸かしてコーヒータイム。水筒の保温性がイマイチということに加え、外気温が低すぎて、ヒュッテで朝もらったお湯もすっかりぬるくなっていました...

ちなみに、リュックの横に入れていたペットボトルの中身はシャーベット状になっていました。スポーツドリンクは塩分も入っているのでなおさら凍りやすいかも?ペットボトルは満タンの状態だとすぐに凍ってしまうので、ある程度飲んでおくと、歩く動作でボトルがシェイクされるので凍りにくいらしいです。

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コーヒータイム。すぐに冷めるの注意。

黒百合ヒュッテ経由で下山

 

山頂で景色を堪能したら下山します。

今回はピストンなので黒百合ヒュッテまで戻ります。道は2ルートあるので、下山時は中山峠経由でない道を選択。こちらは岩場が多いので、中山峠の方が時間的には早そうです。

こちらのルートだと最後には黒百合平を一望することができるので、その景色を見たい方は、ぜひこちらのルートをどうぞ。

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黒百合平が一望できます。


黒百合ヒュッテで最後の休憩をしたら、渋の湯に向けて下山です。下りは滑りやすいので、アイゼンを装着したままで下山しました。

黒百合ヒュッテからは1時間40分程で渋の湯に無事到着!

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分岐の看板には誰かが作った雪だるま。

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最後まで雪の造形を楽しみながら下山。

振り返り...

 

前回の木曽駒ヶ岳とは違い、黒百合ヒュッテに泊まったことで、のんびりと雪山を堪能できました。やっぱり山の中で一晩過ごすのは、気持ち良いですね。

大人気の黒百合ヒュッテですが、混雑していると言っても、夏に比べるとゆったり過ごせると思います。喫茶メニューも充実しているので、また再訪したいです。

スタッフの方々も素敵な人ばかりで、とても好印象でした。夕食後にホットワインを頼んだ時も、名前まで覚えてくれているスタッフの方がいてとても嬉しかったです。このような思い出はいつまでも忘れなそう。

 

天狗岳もすごく素敵な山でした。八ヶ岳は東京からも比較的近いので、また今シーズン中にぜひ別の山にチャレンジしたいです!

 

 

#016|今年の登り始めに、念願の黒百合ヒュッテ泊 & 天狗岳に行ってきました!