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【山道具】セミフレームパック ifyouhave "hug" レビュー(21/10追記あり

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前回の西岳〜編笠山周回でも少しだけ登場した、
新しく購入したバックパック。

ifyouhaveというブランドの
"hug"とい商品です。

tools4mountains.hatenablog.com

 

こちらは日帰りの夏山登山でしたが、
その使用感は期待以上でした。

山で見かけることは珍しく、
ブランド自体もまだ知名度が高くない気がしますが、

この良さを知ってもらいたい!ということで、
今回は、この"hug"を紹介します。

 

 

理想のバックパックを求めて...


UL系のバックパックは、
山と道のMINIを持っていて、
主に日帰り登山で活躍しています。

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www.yamatomichi.com

 

ULの代表的なブランドである"山と道”。
このMINIの完成度はとても高いと思います。

何と言っても、とても軽い。

340gという重量で、バックパックとしては驚きの軽さ。


ただ、使ってみると、
実は上級者向けなのではと思うことも。


特に、感じるのが背負い心地。

フレームがなく背面が柔らかいので、
綺麗にパッキングをしないと
固い荷物が背中にダイレクトに当たったり、
荷重バランスが崩れやすいです。

この点はもちろんパッキングで改善できるので、
熟練度を上げるしかないのですが、
それでも山行中にストレスを感じることがありました。


軽量なバックパックとしては優秀ながら、
自分にとってはこれが正解ではない... 

シンプルで軽量でありながら、
もう少し快適なバックパックが欲しい。


そんな時に見つけたのが、
ifyouhaveの"hug"でした。

 

ifyouhaveについて


ifyouhaveはアウトドアグッズを作っている
ガレージメーカー。


バックパックの他にも、財布やカップなど
More with Less
なアウトドアギアを扱っています。


そんな ifyouhave の代表的なプロダクトが、
今回紹介するセミフレームパック"hug"です。

www.ifyouhave.org

 

他のバックパックとは一線を画す"hug"。

使ってみて魅力を感じた点を、
レビューしていきます。

 

①均衡のとれたデザイン


まずは外観と基本構成から。

色は3色展開(Black/Navy/Olive)で、
自分が選んだのはOlive。


ブラックも格好良かったので迷いましたが、
デザイン的に遊びが欲しかったのでOliveを選択。
(OliveとNavyはボディ色がGreyのツートーン)


Oliveの渋い色合いが気に入っています。

*2021年のモデルは本体色が若干異なっています。

 

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大きめのサイドポケットと、
ロールアップするメインボディが
デザイン的にも良いアクセント。


サイズは3種類


背面長によって推奨サイズが異なるので、
自分の身体に合わせてSize2を選択。

容量はサイズ2だと40Lです。


参考までにSize1は37L、Size3は43Lで、
Size1は女性向けの設計のようです。

  

続いて、側面と背面はこちら。
*パッキングを想定してクッションを詰めています。

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"hug"はUL系のバックパックなので、
背面にはフレームが入っておらず、
内側にインナーパッドが挟まっているのみ。

にも関わらず、写真の通り、
芯のあるスタイル。


ifyouhaveのWEBでもhugは
"セミフレームパック"
と紹介されており、確かにその言葉がピッタリ。

このフレームライクな構造は、
上述のインナーパッドや、その他の工夫によるもの。

 

外観はUL系のバックパックだけあって、
定番の素材感。 


試しに MINIと並べると、こんな感じ。

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外観や素材、構成だけを見ると共通点は多いです。

・X-PACKのボディ
・上蓋の無い構成
・張り巡らされたショックコード。


シンプルながら収納力を高める工夫が随所に見られます。


なお、山と道/MINIの容量は30Lなので、
同じ山と道のザックで、hugと同等サイズであれば、
THREEの方がより近いポジションです。

 

www.yamatomichi.com

 

 

②余力のある収納と、安心感


続いて収納について。

シンプルな構成ですが、
見た目に関して一番特徴的なのは、
ロールアップする開口部

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開いた状態だと、
見ての通りかなり長いです。
少し長過ぎるような気も...

ただ、長いということは、
収納に余力があるということ。

 

荷物の出し入れに関しては、
開いた状態ではザックの底まで距離があるので、
少し入れづらさはあります。

ただ、この開口部の縁には芯材が入っているので、
収納時に開いた状態がキープできるので便利。

 

中を覗くとご覧の通り。

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背中側のポケットには、
インナーパッドが収納されており、
取り外し可能。

テントサイトでは座布団代わりに使うのも良いかも。

 

また、今回、改めて写真を撮ってみて、
光が透過するX-PACKは良いなと思いました。

山での宿泊時は暗いうちにパッキングすることも多いので、
少しでもザックの中が見やすいのは助かるかも...


荷物が収納できたら、
クルクル巻き上げて、バックルで留める仕組み。

開口部の芯材とX-PACKの素材のおかげで、
綺麗に巻き上げることができます。

巻き上げた状態も格好良い。
均衡の取れた良いデザインだと思います。


デザイン面だけでなく、
ロールアップする機構のおかげで、
荷物が不用意に飛び出すこともないので安心。

 

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背面側を見るとわかりやすいですが、
V字型に押さえる仕組みも特筆すべきポイント。

山と道のMINIもそうですが、
真ん中のベルト1本だけの場合、
左右には押さえが効かないので、
荷物が膨れてしまうことがあります。

少し安定感に欠けると思っていたので、
この点はとても考えられているなと思いました。

 

メインのボディ以外の収納は、

  • サイドポケットx2
  • 背面ポケット

サイドポケットはとても大きく、
ペットボトル2本は入りそうなサイズ。

ポケットも位置も低く、
背中側に斜めになっているので、
背負った状態でも取り出しやすそう。

 

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背面のポケットも大きく、
行動食やウィンドシェルなど
すぐに使いたいものを入れておくのにちょうど良いサイズ。


更には外側を交差するショックコード
使用後のレインウェアなど、
行動時にアウターを引っ掛けるのに最適。

 

不満(不安)な点を挙げるとすれば、
背面ポケットにはジッパーが欲しかったかも。

山小屋や休憩時にザックを横に置いた時、
知らない間に中の物が飛び出ていることがあるので...

ただ、この点も考えられており、
ポケットの上部中央にあるゴムを
バックルに引っ掛けられる仕様になっています。

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このようにしておけば、
荷物の飛び出しは防げそう。

 

③抱きしめられるような背負い心地 


続いては、
hugの最大の特徴でもある、背負い心地。

ifyouhaveの製品紹介ページにおいても、
"バックパックに抱きしめられるような背負い心地"
と説明されていますが、本当にその感覚。


抱きしめられる="hug"という名前にも納得。


この背負い心地の秘密の一つは、
ショルダーハーネスに繋がる
ショックコード。

 

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まずは上部。

開口部を留めるバックルの先からは、
2本のコードがV字型に
ショルダーハーネスに繋がっています。

加えて両サイドからもコードが繋がっており、
このコードを絞ることで、メインボディの上部が
ショルダーハーネスに引き寄せられます

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この機構がとても効果的。

特にバックパックの上部は
荷物がどうしても左右に振られがちですが、
ここがしっかり押さえられることで安定します。

同時に、
ショルダーハーネスに繋がっていることで、
バックパックが
身体に吸着するように引き寄せられます。

 

この吸着感はとても新鮮

実際に荷物を入れた状態で背負った時に、
他のザックとの違いがよくわかります。


"抱きしめられる背負い心地"

は決して誇張ではないと感じました。

 

この機構はバックパック下部でも同様で、
サイドポケットの側から、
ショルダーハーネス下端に
コードが繋がっているのがわかります。

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いつも通りでハーネスを下に引いたあと、
このサイドのコードを絞ることで、
腰回りの安定感が増します。

hugにはショルダーベルトは付いておらず、
基本的に肩で背負うことを想定していますが、
それでも、この機構により
バックパックが身体に引き寄せられるので、
とても安定感があります。

*ショルダーベルトはオプション品で販売

 

この装着感を言葉にするのは難しいですが、
背中がブレないという感じ。

hugの場合は肩で背負っていながらも、
荷重が背中全体に
うまく分散されているように思います。

 
バックパック中央には
コンプレッションのポイントがあり、
荷物に合わせてうまく活用することで、
背負い心地は更に向上しそう。

なお、コードは緩さがなく、全体的にきつめです。

 

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また、改めて気付かされたのが、
チェストストラップの意義。

肩への荷重の集中を避けるため、
これまで他のバックパックを背負う際は、
チェストストラップは強めに引っ張っていました。

ただ、hugの場合は、
片側がラバーバンドになっており、
ストラップはあくまで胸の形に追従するのみ。

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hug特有の機構で、
荷重が背中に分散してくれるので、
無理に引っ張らないチェストストラップも
合理的なのかなと思います。

 

④行動中にはじめて分かる快適性


次に気になるのが、
実際に山での行動中の快適性

山と道のMINIを夏山で使うと、
かなり背中が蒸れるのがネックでした...


hugの場合はどうなのか?
 

実際に日帰り登山で使ってみた感想としては、
蒸れる割に、熱はこもりにくい
というのが率直なところ。

hugの背面を見てみると、
縦型に溝が切ってあり、蒸気が逃げる仕組み。

 

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縦型というのが意外と効いている気がします。

ただ、熱の問題は
バックパック側には限界があるので、
ウェアリングでうまく対応したいところです。

 

この背面については、
見えないところでインナーパッドが特徴的で、
行動中の快適性&背負い心地に貢献しています。

これはifyouhaveの説明の方がわかりやすいですが、
低反発の素材を使っており、行動するにつれ、
パッド形状が背中に合わせて変化します。

www.ifyouhave.org

 

確かに、思い返してみると、
背負い始めよりも、歩き始めてからの方が
フィット感があった気が...

 

背負い心地については、
これからも気にしてみたいと思います。

それにしても、
外からは見えないところにも工夫があって、
バックパックは奥が深い。
 

⑤痒いところに手が届くオプション品


最後にオプション品の紹介。

すでに写真では装着した状態ですが、
下記のオプション品も購入しています。

  • Hip Belt
  • Shoulder Bottle Pocket

 

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ヒップベルトは、上記の写真のように、
クリップでボディ側のベルトに装着可能。

パッドが付いているタイプのベルトなので、
フィット感は高いです。

山と道もオプション品で出していますが、
こちらはパッド無しのシンプルなベルト。

重量が重くなる時には活躍してくれそう。

 

 

もう一つのオプションである
ドリンクホルダーについては、
単品で購入していて、別途レビュー済です。

 

tools4mountains.hatenablog.com

 

hug用に作られているだけあり、
当然のことながらピッタリの仕様。

飲み物ついては、
サイドポケットを使っても十分快適そうですが、
行動中のストレス軽減を考えると、
やはりこのボトルホルダーは助かります。

 

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ハーネスは写真のように、
アクセサリが取り付けられる仕様なので、
正規のオプション以外でも、
ショルダーポーチ等を付けるのも良さそう。

 

今回紹介したオプションは、
いずれも必須ではないものの、
あると便利なアイテム。

痒いところに手が届くといった感じで、
個人的には買って正解だったなと思います。

 

あと、アクセサリについて個人的に重要だったのは、
Peak DesignのCaptureが使えるかどうか。

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こちらについては、
hugのショルダーハーネスが太めだったので、
不安でしたが、試したところ、
無事に装着できました!

  

まとめ:こんな人にオススメ


最後に一番大事なこと。価格。

hugの定価は¥37,400

決して安いとは言えない... むしろ高い。


ただ、価格についてはガレージメーカーで、
少量生産なので妥当な価格かと思います。

 

価格については許容範囲は人それぞれだと思うので、
それをクリアした前提でオススメしたいのは、

  • 軽量なザックが欲しい人
  • ULザックに興味はあるけど不安な人
  • 他人と被りたくない人

こんなところでしょうか。

見た目も格好良いバックパックで、
山映えも良いのでオススメです。

 

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購入した手前、
色眼鏡で良いところばかり挙げてしまったので、
使いながら気づいた点があれば、
また追加でレビューしていきたいと思います。

 

(21/10追記)改めて使い込んでみての感想


日帰り登山でも、テント泊でも使ってみましたが、
個人的には7-8Lくらいの重量で使うのが、
最も性能を発揮してくれるかなと思います。

特に、hugの特徴である背負い心地は、
パッキングがハマってくれると、
本当に背中にピッタリくっついてくれます。

 

ただ、重量がテント泊クラス(12-13kg)になると、
重心が下がってきてしまうので、
肩にかかる重さを感じやすくなるイメージです。

 

それなりの重量になる場合は、
背中側かつ丈夫に重心を集めるという、
基本に忠実なパッキングを心がける必要がありそう。


また、hugの背面パッドは背中の形に合わせて変形してくれますが、
テントのフレームなど固い物を背中側に入れていると、
その性能が発揮できないので、要注意。

 

やはり、フレームのあるバックパックと比べてしまうと、
パッキングに気を使う必要はあります。

が、きちんと使えば、とても快適です。

 

【山道具】セミフレームパック ifyouhave "hug" レビュー